近年、Supabaseというバックエンドサービスが開発者の間で大きな注目を集めています。Firebaseのような既存サービスは便利ですが、「Supabaseって何ができるの?」「Firebaseとどう違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
Supabaseは2020年にシンガポール発のスタートアップによって提供が開始され、すでに45万人以上の開発者が登録し、1億1600万ドル以上の資金調達を行うなど「Firebaseを代替するBaaS」として急成長しています。
本記事では、そんなSupabaseの特徴や機能、料金プランから導入方法まで徹底解説します。この記事を読めばSupabaseとは何かがクリアになり、あなたのプロジェクトに適しているか判断できるようになるでしょう。
Supabaseとは?
出典:Medium
Supabase(スーパーベース)は、Firebaseの代替を目指して登場したオープンソースのBaaS(Backend as a Service)プラットフォームです。
BaaSとはアプリのバックエンド機能(データベースや認証など)をクラウド上で提供するサービスのことで、開発者はサーバーサイドの実装を一から行う必要がなくなります。
Supabaseは2020年頃からベータ公開され、2024年4月に一般提供(GA)を開始しました。最大の特徴は、その名の通りSupabaseが採用する技術スタックがすべてオープンソースで構成されている点です。
例えばデータベースにはPostgreSQL(オープンソースのリレーショナルDB)を使用しており、SQLクエリによる高度なデータ操作が可能です。またSupabaseは、Google提供のFirebaseと同様に認証、リアルタイムデータベース、ストレージ、サーバーレス関数などフルスタックなバックエンド機能を提供しつつ、Firebaseとは異なる技術選択やオープンソース化により差別化を図っています。
つまり「オープンソース版Firebase」とも言える存在で、開発者はSupabaseを使うことでFirebaseに近い開発体験を得ながら、ソースコードへのアクセスや自前ホスティングによる自由度も確保できるのです。
Supabaseの主な機能
Supabaseが提供する代表的な機能を見ていきましょう。リアルタイムデータベースやユーザー認証、ストレージ、サーバーレス関数といったバックエンドに欠かせない機能がオールインワンで揃っています。
SupabaseはPostgreSQLをベースにしているため、これら機能が既存のオープンソースソフトウェアを組み合わせて実現されている点も特徴的です。
リアルタイムデータベース
Supabaseでは、PostgreSQLデータベース上にリアルタイム機能が実装されています。
データ変更のイベントを補足してクライアントに即時配信する仕組みが組み込まれており、WebSocketを用いた双方向通信によってデータのリアルタイム同期が可能です。
具体的にはPostgreSQLの公開/購読機能やログを活用し、任意のテーブルに対するINSERT/UPDATE/DELETEといった変更をリアルタイムで検知・通知します。これにより、チャットアプリのメッセージ更新や他ユーザーとの共同編集といった機能をサーバー実装なしに実現できます。
従来FirebaseのRealtime DatabaseやFirestoreが担っていたリアルタイム通信を、Supabaseでも同様に(より柔軟なSQLデータベース上で)利用できる点は大きな魅力です。
認証(Supabase Auth)
Supabase Authはアプリケーションにユーザー認証やアクセス制御を組み込むためのサービスです。
メールアドレス・パスワードによるサインアップ/ログイン機能や、OAuthを利用したGoogleやTwitterなど外部プロバイダでのログイン、さらにTOTPやSMSを用いた多要素認証にも対応しています。
Supabaseが提供する認証APIを利用すれば、数行のコードでユーザー管理機能を実装可能です。
例えばJavaScript SDKで新規ユーザーを登録するコードは以下のようにシンプルです
const { data, error } = await supabase.auth.signUp({
email: '
example@email.com
',
password: 'example-password',
});
認証後のユーザーデータはPostgreSQL上に保存され、Firebase同様にJWT方式のトークンが発行されます。
またデータベースの行レベルセキュリティ(Row Level Security)と統合されており、ログインユーザー毎に異なるデータアクセス権を細かく制御できる点も特徴です。
このように、Supabaseでは高度なセキュリティと利便性を両立した認証基盤が用意されています。
ストレージ(Supabase Storage)
Supabase Storageは、アプリで扱う画像や動画、ドキュメントなどのファイルを保存・配信するためのオブジェクトストレージサービスです。
内部的にはAWS S3互換の仕組みを採用しており、扱いやすいバケット単位でのファイル管理が可能です。アップロードされたファイルは世界中に配置されたCDN(Content Delivery Network)経由で高速に配信されるため、ユーザーは遅延の少ないコンテンツ閲覧が期待できます。
また画像のリサイズやトリミングなどのオンザフライ変換機能もベータ版で提供されており、サーバーレス関数を使わずに簡易的な画像加工が可能です。Firebaseにも類似の「Cloud Storage」がありますが、Supabaseの場合はPostgreSQLデータベースにファイルのメタデータが保存される点が異なります。
これによりデータベースの行レベル権限を使ったファイルアクセス制御が容易になるというメリットがあります。
サーバーレス関数(Edge Functions)
SupabaseはEdge Functionsと呼ばれるサーバーレス関数機能も備えています。
Firebaseで言う「Cloud Functions」に相当する機能で、開発者はバックエンドのビジネスロジックを関数単位で実装・デプロイ可能です。
SupabaseのEdge FunctionsはDenoランタイム上で動作し、TypeScript/JavaScriptで記述します。デプロイされた関数はSupabaseのグローバルエッジネットワークでホストされるため、ユーザーに近い場所で実行され低レイテンシが期待できます。
またデータベースや認証、ストレージともシームレスに連携でき、例えば「新しいユーザー登録時にウェルカムメールを送信する」処理や「特定のDB更新時にサードパーティAPIを呼ぶ」処理などを容易に組み込めます。
現時点でSupabaseの関数はTS/JSに限定されますが、今後サポート拡大の可能性もあります。Appwriteなど他のオープンソースBaaSではNode.js以外にPythonやRubyなど複数言語の関数ランタイムを提供していますが、SupabaseはシンプルにJavaScriptエコシステムに絞ることで、フロントエンド開発者でも扱いやすい設計になっていると言えるでしょう。
Supabaseの導入メリット・デメリット
次に、Supabaseをプロジェクトに導入することで得られるメリットと注意すべきデメリットを整理します。
他のサービス(特にFirebase)との比較も交えながら解説するので、Supabaseを選定する判断材料にしてください。
導入メリット
オープンソース & ロックイン回避
Supabaseは完全オープンソースであり、自社サーバーや他クラウドにセルフホスティング可能です。そのため、将来的にサービス提供元に依存せず柔軟に運用できます。
他社クラウド専用のFirebaseに比べベンダーロックインのリスクが低く、企業利用でも安心感があります。
リレーショナルDBとSQLの強み
バックエンドにPostgreSQLを採用しているおかげで、高度なクエリや集計、テーブル結合などリレーショナルDBならではの表現力を活かせます。
複雑なデータを扱うアプリでも無理なく対応でき、NoSQLベースのFirebaseでは難しい高度な検索や分析にも柔軟です。既存のSQL知識やツールを活用できる点も、開発者にとって大きな利点でしょう。
豊富な機能を一括利用
前述の通り、認証・ストレージ・リアルタイム・関数など必要なバックエンド機能がワンストップで揃います。
各機能間の統合もスムーズで、例えば認証とDBの行レベルセキュリティ連携、ストレージと認証のアクセス制限連携など、統合プラットフォームならではの開発効率向上が期待できます。公式ダッシュボード(Supabase Studio)でデータベースやユーザー管理をGUI操作できるなど、開発体験も洗練されています。
学習コストの低さ
Supabaseは「Firebaseライク」なサービスということもあり、フロントエンドエンジニアにも馴染みやすいです。公式のJavaScript/TypeScriptクライアントが充実しており、ReactやNext.jsとの相性も良好です。
またREST APIやGraphQLを直接叩くこともできるため、好みのフレームワーク・言語で利用できます。総じて短期間で習得しやすく、ドキュメントやコミュニティも急速に充実しつつある点はメリットです。
無料枠と定額制による安心感
Supabaseは無料プランが用意されており、個人開発や小規模プロジェクトであれば無料枠内で十分試すことができます。有料のProプランも月額定額制(後述)であるため、急な費用変動の心配が少なくコスト予測が立てやすいのも利点です。
Firebaseのように従量課金で想定外の請求に悩まされるリスクが低く、予算管理しやすいでしょう。
導入デメリット
大規模実績が少ない
2024年に正式版が出たばかりということもあり、大規模サービスでの採用事例がまだ少ないのが現状です。そのためトラフィックが極めて多いサービスやミッションクリティカルなシステムでの性能・スケーラビリティに不安視する声もあります。
実際に企業での本番利用は徐々に増えてきているものの、保守的な企業ほどSLAや信頼性を理由に採用を見送るケースもあるようです。今後時間の経過と共に事例が蓄積され、この点は解消されていくでしょう。
提供サービスの範囲
Supabaseはバックエンドの主要機能を網羅していますが、Firebaseが提供するような付加サービス(AnalyticsやPush通知、機械学習機能など)は含まれていません。
例えばFirebaseではモバイル向けのプッシュ通知サービス(FCM)やCrashlytics、Googleアナリティクス連携などがワンセットで利用できますが、Supabaseにはこれらが無いため必要に応じて別途実装・統合する必要があります。
特にプッシュ通知はモバイルアプリ開発で重要ですが、Supabaseでは現状公式にはサポートされず、Firebase Cloud MessagingやExpo通知サービス等を自前で使う必要があります。
機能の成熟度
急速に開発が進んでいるとはいえ、新興サービスゆえに一部機能の成熟度がFirebaseに比べ低い場合があります。
例えば管理コンソールの使い勝手やエコシステムの充実度、データベース周りの高度なチューニング機能などは、長年運用されてきたFirebase/GCPに軍配が上がる点もあるでしょう。公式ドキュメントやサンプルも英語主体で最新情報を追う必要があるため、日本語情報の豊富なFirebaseと比べ初心者サポート面で劣る部分は否めません。ただしコミュニティベースでの改善が日々行われており、このギャップも縮まりつつあります。
依存する技術への知識
PostgreSQLやSQLに不慣れな開発者にとっては、NoSQLベースのサービスより学習コストが高く感じられる可能性もあります。Firebaseはドキュメント指向のデータモデルで直感的に使えますが、Supabaseではスキーマ設計や正規化/非正規化の判断などRDBMS的な考慮が必要です。
しかし裏を返せば、アプリの成長に伴ってスキーマを適切に整備できるので、大規模化で破綻しにくいという利点にもつながります。最初は戸惑うかもしれませんが、SQLに習熟すれば強力な武器となるでしょう。
Supabaseの料金体系
出典:Supabase
Supabaseの料金プランは明瞭で、無料枠から始めて必要に応じて段階的にアップグレードできるようになっています。個人利用から商用プロジェクトまで対応できるプランが用意されており、費用面でも魅力的です。
Free
Supabaseにサインアップすれば誰でもまずはFreeプランで始められます。趣味の開発や試験用途には十分な枠ですが、プロジェクトを継続的に運用する場合は次のProプラン以上へのアップグレードが推奨されています。
・無制限のAPIリクエスト
・データベース最大約500MB
・1GBのファイルストレージ
・5GBの帯域幅
・月間アクティブユーザー数50,000人まで
・コミュニティによるサポート
・自動バックアップはなし
Pro $25/月
小~中規模の商用サービスであればこのProプランでまかなえるケースが多く、最も人気のあるプランとなっています。万一上限を超えるようなアクセス増があっても、追加の従量課金でスケールアップできる柔軟性も備えています。
Freeプランのすべての機能に加え、
・データベース最大8GBまで
・100GBのファイルストレージ
・250GBの帯域幅
・月間アクティブユーザー数10万人まで
・メールサポート
・7日間のバックアップとログ保存
Team $599/月
大規模チームやエンタープライズ向けの上位プランです。
大企業やミッションクリティカルなサービスでSupabaseを使う場合はこちらのプランが検討されます。
Proプランのすべての機能に加え、
・データベース要問い合わせ
・月間アクティブユーザー数要問い合わせ
・バックアップ14日間、28日間のログ保存
・優先メールサポートとSLA
・SOC2基準のセキュリティ
・HIPAAは有料で拡張可能
・シングル サインオンの提供
Enterprise 料金要問い合わせ
こちらは問い合わせベースのカスタムプランで、超大規模向けの個別見積もりになります。専任のサポート担当やオンプレミス導入支援、99.99%稼働保証など、企業ごとのニーズに合わせた契約が可能です。
商用利用に向いているか?
Supabaseは上記の通り商用プロジェクトに対応した有料プランが存在し、特にスタートアップや中小規模サービスではコストパフォーマンスに優れた選択肢となり得ます。
月額定額で予算を組みやすく、必要に応じてスケールも可能なため、初期段階で急成長しても柔軟に対応できます。
ただし超大手企業の基幹サービスなどで求められる厳格なSLAやサポート体制を重視する場合は、Enterpriseプランでの契約や場合によっては他サービスとの比較検討が必要でしょう。
逆に言えば、そこまでの規模や要件が無いプロジェクトであれば、Supabaseは商用利用に十分耐えうる信頼性とコストメリットを提供していると言えます。
Supabaseの活用シーン
Supabaseは用途に応じて幅広く使えるプラットフォームです。以下では、代表的なシーンごとに特徴をまとめ、どんなメリットがあるかを具体的に解説します。
個人開発/ハッカソン向け
個人でアイデアを形にしたい時や、短時間でプロトタイプを作るハッカソンでは、Supabaseの「サインアップから数分でAPIが使える」手軽さが大きな強みです。無料プランで十分に試せるため、予算を気にせず開発に集中できます。
スピード重視
・数分でPostgreSQL+認証+ストレージが利用可能
・CLIでローカル環境も即座に構築できる
学習コスト低
・FirebaseライクなAPIなのでドキュメントを追いやすい
・JavaScript/TypeScriptクライアントが充実している
本番移行のハードルが低い
・開発→ローカル→本番へのデプロイがワンコマンド
・SQLダンプでデータ移行もスムーズ
スタートアップ/MVP開発
スタートアップのMVP(Minimum Viable Product)開発では、「初期コストを抑えつつ、成長に合わせてスケールできる」ことが鍵となります。Supabaseの定額プランは予算計画を立てやすく、アクセス増に合わせたプランアップが容易です。
コスト予測しやすい
・月額定額制のProプランで急な請求リスクを回避
・無料枠で小規模ユーザー数まではノーコスト
スケーラビリティ確保
・Pro→Team→Enterpriseと段階的にリソース拡充
・自動バックアップやログ保存で運用も安心
統合機能の活用
・認証+Row Level Securityで堅牢なユーザー管理
・ストレージ+CDNで画像・動画配信を最適化
社内ツール/業務システム
社内向けの在庫管理や営業支援ツールなど、業務効率化を目的としたシステムでもSupabaseは威力を発揮します。セルフホストでセキュリティポリシーに準拠しつつ、必要に応じてコードレベルで自由にカスタマイズが可能です。
オープンソースの利点
・社内ネットワーク内へのオンプレミス導入が可能
・ソースコード改変で独自機能の追加も自在
PoC(概念実証)にも最適
・短期間で機能を検証し、本番環境へ容易に移行
・PostgreSQL互換のため他DBとのデータ連携がスムーズ
BI連携やレポーティング
・SQLを活用して既存のBIツールと直接接続
・データ抽出や分析用クエリをそのまま実運用に利用
モダンWebアプリ/Jamstack
Next.jsやNuxt.jsといったJamstackアーキテクチャとSupabaseを組み合わせると、フロント/バックエンドが明確に分かれつつも、リアルタイム機能やサーバーレス関数がシームレスに動作します。ユーザー体験を重視したアプリ開発に最適です。
フロントとバックの分離
・静的ホスティング+Supabase APIで高速配信
・標準のSDKでSSR/ISRにも対応
リアルタイム機能
・チャットシステムやライブダッシュボードを簡単実装
・テーブル単位で変更検知&自動更新
Edge Functions活用
・Denoベースのサーバーレスで低レイテンシ処理
・APIキー漏洩リスクを抑えたサーバーサイドロジック
これらのシーンを参考に、まずは最も近いケースからSupabaseを試してみるのがおすすめです。視覚的に整理された上で、必要に応じた詳細解説があることで、どのユースケースでも理解しやすい構成になっています。
Supabaseはその手軽さと柔軟性から、個人開発からスタートアップのプロダクト開発、さらには社内ツール構築まで幅広いシーンで活用が進んでいます。それぞれのユースケースでSupabaseを使うメリットを見てみましょう。
Supabaseと他主要BaaSツールとの比較
Supabaseを競合する他の主要BaaSプラットフォームと比較してみます。代表的なFirebase(Google提供)、Appwrite(オープンソースBaaS)、Backendless(老舗BaaS)の3つについて、機能や使い勝手の違いを確認しましょう。以下の表に主な比較ポイントをまとめ、その後で各サービスとの詳細な違いを解説します。
Supabaseの環境構築
それでは実際にSupabaseの環境を構築する手順を簡単に解説します。公式の方法に基づき、初心者でも試しやすいローカル開発環境のセットアップ手順を紹介します。Supabaseはクラウド上で完結できますが、ここではあえて手元でSupabaseを動かしてみることで、その仕組みに触れてみましょう。
必要なのはNode.js(npm)とDockerのみです。
1.Supabaseアカウント登録とプロジェクト作成
出典:Supabase
まず
公式サイトにアクセスし、無料アカウントを作成します。
ログイン後、プロジェクトを1つ作成しておきましょう(プロジェクト名やリージョンを指定するだけです)。これでクラウド上にSupabaseのインスタンスが用意され、ダッシュボードから各種設定やデータベース操作が行えるようになります。
2.Supabase CLIのインストール
ローカル環境でSupabaseを動かすには、公式提供のCLIツールを使用します。Node.jsがインストールされた環境で以下のコマンドを実行し、CLIを導入します。
npm install supabase --save-dev
※上記ではnpmを使用していますが、YarnやHomebrew経由でもインストール可能です。
3.プロジェクトの初期化
次に、作業用のディレクトリ(既存のアプリのリポジトリでもOK)にてSupabaseプロジェクトを初期化します。ターミナルでそのディレクトリに移動し、以下を実行してください。
これによりカレントディレクトリにsupabase
という設定フォルダが作成され、ローカル用のデータベース設定や認証用鍵ペアなどが生成されます。既存のSupabaseクラウドプロジェクトと連携する場合はsupabase link
コマンドでプロジェクトIDを指定できますが、ここではローカル開発として進めます。
4.Supabaseスタックの起動
初期化ができたら、いよいよSupabaseをローカルで起動します。以下のコマンドを実行すると、自分のPC上にSupabaseの主要コンポーネント(PostgreSQLデータベース、認証サーバー、ストレージサーバー等)が立ち上がります
。
バックグラウンドでDockerが動作し、数十秒ほどで「Supabase local stack」が起動します。デフォルトではPostgreSQLがポート54322番、SupabaseのREST APIがポート54321番でリッスンし、URL http://localhost:54323 で管理用のSupabase Studioにアクセスできます。ブラウザで開いてみるとクラウド版とほぼ同じ管理画面が表示され、ローカルPostgresへのテーブル作成や認証ユーザー管理が試せます。
以上でローカル環境にSupabaseがセットアップされ、インターネット接続なしでも開発・テストが行えるようになりました。例えば自分のフロントエンドアプリから、.env
にローカルSupabaseのURLと匿名APIキー(supabase/.env
内に自動生成)を設定し、SDK経由で接続すればクラウド版と同様に動作します。Dockerさえ導入済みであれば数コマンドでバックエンド一式が起動する手軽さは、Supabaseの魅力の一端と言えるでしょう。なおローカル環境で開発を進め、完成したらsupabase deploy
コマンドでクラウド(本番)にデプロイするといったことも可能です。
まとめ
Supabaseは登場から間もないながらも、驚くべきスピードで進化を続けているバックエンドプラットフォームです。「オープンソースのFirebase代替」という触れ込みに偽りはなく、実際に主要機能は網羅しつつ独自の強みも打ち出しています。
特にPostgreSQLを中心としたアーキテクチャは、従来のBaaSにはなかったスケーラビリティと拡張性をもたらしました。2024年に正式版となり、巨額の資金調達とコミュニティ拡大によって、今後さらにエンタープライズ志向の機能強化や周辺ツールとの連携が進むことが予想されます。
Supabase自身、「Firebaseを完全にコピーするつもりはない。我々は技術選択も異なり、既存の優れたOSSを積極的に活用している」というスタンスを表明しています。これはつまり、Supabaseならではの路線でバックエンド開発の未来を切り開こうとしていることの表れでしょう。現時点でも十分実用的ですが、まだ発展途上な部分も含めてコミュニティと共に育っていくサービスです。もしあなたが最新の技術トレンドに関心があるなら、Supabaseを触ってみることで現代のBaaSが目指す方向性を肌で感じられるはずです。ぜひこの機会にSupabaseを試し、その可能性を体験してみてください。あなたの次のプロジェクトにおいて、Supabaseが強力な武器となるかもしれません。