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OpenAIの動画生成AI「Sora」とは?仕組み・使い方・料金・活用事例を徹底解説!

作成者: 仲山 隼人 (Hayato Nakayama)|25/04/13 15:30

 

OpenAIが開発した最先端の動画生成AI「Sora」は、わずかなテキスト指示からリアルな映像を自動で作り出す驚異的な技術です。まるで映画監督になったかのように、誰もが自由に映像を創造できる未来。

その最前線を担うSoraの仕組みや使い方、料金、活用事例までをわかりやすく解説します。動画の常識が、今まさに塗り替えられようとしています。

 



出典:Wikipedia

 

 

 

 

目次
 
 
 
 

Soraとは?

 
まずは疑問です。文章から動画を自動生成できるAIがあるとしたら、驚きませんか? それこそがOpenAIの最新動画生成AI「Sora(ソラ)」です。
 
OpenAI(後述)の手によって2024年2月15日に発表された最先端の生成AIモデルで、ユーザーがテキストで指示を入力するだけで高品質な映像を作り出せます。
 
生成できる動画の長さは最長で約1分間にも及び、これは当時の生成AIとして画期的な長さだと評されました。(一般利用では最長20秒)
そんな夢のようなAI「Sora」は、当初アーティストやデザイナーなど一部のクリエイター限定でプレビュー提供されていました。しかし世界中から一般公開を望む声が高まり、ついに2024年12月9日(現地時間)に一般ユーザー向けの提供が開始されました。
 
Soraという名称は日本語の「空」にちなむとされています。その名の通り、想像の“空”を自由に飛び回るような映像表現力が特徴です。テキストだけでなく画像や既存の動画を入力として、新たな動画を生み出すことも可能で、まさにアイディア次第で映像表現の幅が無限に広がります。後述する仕組みや機能を見れば、Soraがどれほど先進的なAIなのか実感できるでしょう。
 
 
 

OpenAIとは?

 



出典:Wikipedia

OpenAI(オープンエーアイ)とは、Soraを開発したAI研究企業です。
2015年にイーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏らによって米国で設立されました。もともとは人工知能の安全な発展を目指す非営利団体としてスタートし、現在は世界をリードするAI企業の一つです。
 
OpenAIはこれまでに文章生成AIの「GPT」シリーズや対話AI「ChatGPT」、画像生成AI「DALL-E」シリーズなどを次々と発表してきました。
 
そんなOpenAIが次なるステージとして挑んでいるのが動画生成AIの領域です。静止画やテキストだけでなく、動きのある映像までAIで作り出そうという壮大な試みの中で生まれた最新モデルがSoraです。
 
 
 
 

Soraの仕組み

Soraはいったいどうやって文章から映像を生み出しているのでしょうか? その裏側には最新のAI技術が組み合わさっています。
 
Soraには以下の3つの技術が組み込まれています。
 
 
これらの技術を使って、以下のプロセスでSoraは動画を生成します。

1.テキスト入力(プロンプト)

2.ノイズ映像の生成

 完全に乱れた映像からスタートします。

3.ディフュージョン処理で画像化

 ノイズを除去に消去し、画像が浮かび上がってくる。

4.トランスフォーマーで文脈補正

 前後の流れや構図を補完し、一貫性あるストーリーに。

5.パッチ分解による時間・空間の最適化

小さな映像断片(パッチ)で並列処理、効率化を実現。

6.最終レンタリング(高画質で出力)

滑らかでリアルな動画として完成!
 
 
 難しい技術用語が並びましたが、ポイントはSoraは最新のAIモデル(ディフュージョンモデル+トランスフォーマー)を組み合わせ、映像データを巧みに扱う工夫によって実現しているということです。この仕組みにより、単なる画像の寄せ集めではない滑らかな動画をゼロから生成することに成功しています。
 
 
 

Soraでできること

それでは、Soraを使うと具体的にどんなことが可能になるのでしょうか? その豊富な機能を紐解いてみます。
 
 

テキストから動画生成 (Text-to-Video)

 
Soraのメイン機能は、なんといっても文章(テキストプロンプト)から新しい動画を作り出すことです。
 
あなたが頭に思い浮かべたシナリオをそのまま映像化できるイメージです。プロンプトを入力すると、AIが内容を深く理解し、違和感の少ない自然な動画クリップを生成します。そのクオリティは非常に高く、「本物の映像と見分けがつかない」と評されるほどです。Soraが生み出す映像には細かなディテールや質感まで表現され、たとえば光の反射や人の影といった要素もリアルに再現されます。
 
1本あたりの動画の長さは最大で約20秒程度(ChatGPT Proプランの場合)ですが、後述のストーリーボード機能で複数クリップを繋げればより長尺の映像作品に仕上げることも可能です。
 
 
 
 

画像から動画生成 (Image-to-Video)

 
静止画一枚しかない場合でも大丈夫。Soraは画像をもとにその続きを動画化することもできます。
 
例えば風景写真を入力すれば、その風景の中でカメラがパンしたりズームしたりするような映像を作り出したり、イラストに動きを付けてアニメーション風の動画に仕立てたりといったことが可能です。
 
画像+テキストの組み合わせで、「このキャラクターが歩き出すシーンを作って」と指示すれば、イラストのキャラクターが実際に歩いている動画を生成してくれる、といった具合に静止画に命を吹き込むような使い方ができます。
 
 
 
 

動画から動画生成・編集 (Video-to-Video)

 
手元にある映像を別の雰囲気に変換したり、続きのシーンを生成したりといった高度な編集もSoraなら簡単です。
 
例えば日中に撮影した映像を夜の雰囲気に変える、現実の風景動画をアニメ風のスタイルに変換するといったスタイル変換がテキスト指示で可能です。
また、未完の動画の続きをAIに作らせたり、複数の動画クリップを合成して一つに繋げることもできます。Soraには後述する「Remix」機能など高度な編集ツールが備わっており、これを使えば撮影せずとも映像の内容を自在に改変・拡張できるのです。
 
まさに映像版Photoshopとも言える柔軟さで、クリエイターの発想次第で様々な映像編集ニーズに応えてくれるでしょう。
 
 
 
 

多言語対応・高い直感性

 
Soraは日本語のプロンプト(指示文)にも完全対応しています。
そのため、日本のユーザーでも言葉の壁を感じることなく思い通りの指示を出せます。実際にインターフェースもChatGPTに似た対話形式で、テキスト入力欄に日本語で「○○な映像が見たい」と書くだけ。
 
さらに参考となる画像や動画があればアップロードして一緒に送信できるなど、チャット感覚で手軽に動画生成や編集が行えるのが魅力です。
専門的な動画編集ソフトの知識がなくても扱える直感的な操作性も、Soraが幅広いユーザーに受け入れられている理由でしょう。
 
 
 
 

高速な生成と高解像度

 
生成AIというと「処理に時間がかかるのでは?」と思われるかもしれません。
しかしSoraは非常に高速で、最短1分程度で一本の動画を作成可能です。
 
また出力映像の画質も選択可能で、最高でフルHD(1080p)に対応します。解像度やアスペクト比(横長16:9、縦長9:16、正方形1:1など)も自由に設定できるため、スマートフォンの縦動画から大画面TV向けの横長映像まで、用途に応じた品質の動画を生成できるのです。
 
このように、Soraは「テキスト・画像・動画」⇒「新たな動画」というマルチモーダルな生成に対応し、多彩な活用ができるAIです。映像制作の専門知識がなくても、アイデアひとつでプロ顔負けの動画コンテンツを生み出せるため、個人から企業まで幅広い層にとってクリエイティブの強力な味方となるでしょう。
 
 
 
 

Soraの料金

Soraは無料で使えるのでしょうか? 気になる料金体系について解説します。
 
現在SoraのサービスはChatGPTの有料プラン会員向けに提供されています。つまり、OpenAIが提供するChatGPTの「Plus」または上位プラン「Pro」の購読者であれば、追加料金なしでSoraを利用可能です。
 
逆に言うと無料プランのユーザーや非会員は現時点ではSoraを使うことができませんSora単体での有料プランはなく、ChatGPTのサブスクリプションに付随する形になっています。
 
ではChatGPT PlusとProでは具体的に何が違うのか見てみましょう。以下にSora利用時の主な違いをまとめました。
 
 

 

※高画質に設定すると生成可能本数は減少します。Plusプランでは480pなら最大約50本、720pではそれより少ない本数に制限されます。同様にProプランでも1080p出力時は500本より少なくなります。
 
 
表より、Plusプラン利用者は短め・低解像度の動画を少量ずつ楽しむ用途向け、Proプラン利用者は長尺・高画質の動画を大量に生成するプロユース向けと言えるでしょう。
 
なお、現在のところSora単体での課金オプションや無料トライアルは提供されていません。将来的に一般公開範囲が広がったり無料枠が設けられる可能性もありますが、2025年4月時点では利用したい場合Plus以上の契約が必須となります。
 
 
 
 

Soraの使い方

それでは実際にSoraを使う手順や操作方法を見ていきましょう。初めてでも安心、順を追って説明します。
 
 

1.アカウント登録とログイン

 
Soraを利用するには、まず公式サイトでのアカウント登録が必要です。ChatGPTの有料会員であっても、Sora専用の利用登録を行う必要がある点に注意してください。
 
出典:OpenAI
 
「Log in」ボタンからChatGPT登録時のGoogleやMicrosoftアカウント等でログインし、表示に従って生年月日の入力(※18歳未満は利用不可)やユーザーネームの設定を行えば登録完了です。このようにシングルサインオン形式で手軽に開始できます。
 
 
 

2.基本設定の選択

 
ログイン後、いよいよSoraで動画を作ってみましょう。画面下部にテキストの入力欄(プロンプト欄)が表示されていますが、文章を入力する前に5つの基本設定を指定しておくとより思い通りの映像に近づきます。
 
 

出典:OpenAI
 

プリセット

出典:OpenAI
 
映像の雰囲気やスタイルをあらかじめ選べるテンプレートです。現在「Balloon World」「Stop Motion」「Archival」「Film Noir」「Cardboard & Papercraft」の5種類が用意されており、それぞれ明るくポップ、ストップモーション風、懐かしいフィルム調、白黒ノワール調、工作アート風…と動画の基調となる表現スタイルを指定できます。
 

アスペクト比

出典:OpenAI
 
動画の縦横比を指定できます。横長の16:9、縦長の9:16、正方形の1:1など用途に合わせて選びましょう。スマホ向けなら縦長、YouTube向けなら横長といった使い分けができます。
 
 

画質(解像度)

出典:OpenAI

出力動画の解像度を480p・720p・1080pから選択します(Plusプランの場合480p/720pのみ)。解像度が高いほど鮮明になりますが、1回あたりの生成にカウントされるコストも大きくなりますので、必要に応じて使い分けましょう。
 
 

動画の長さ

出典:OpenAI
 
生成する動画クリップの長さを指定します。選択肢はプランによって異なり、Plusでは5秒 or 10秒、Proでは最大20秒まで選べます。シーンの内容に応じて適切な長さを設定しましょう。
 

同時生成数

出典:OpenAI
 
1回の指示で何本のバリエーション動画を同時に生成するかを指定できます。例えば「2本」に設定すると、少し異なる2パターンの動画が出力され、その中から良い方を採用するといった使い方が可能です。
 
以上の設定項目をGUI上で直感的に選んだら、準備完了です。なお画像や動画ファイルを参考素材として使いたい場合、画面左下の「+」ボタンからアップロードできます。例えば背景に使いたい写真や、続きのシーンを作りたい動画クリップなどがあればここで追加しましょう。
 
 
 
 

3.プロンプト入力と動画生成

 
基本設定ができたら、いよいよプロンプト(映像の指示文)をテキスト欄に入力します。
 
プロンプトの書き方に厳密なルールはありませんが、「誰が・どこで・何をしている」といった要素を具体的に書くと狙い通りの動画になりやすいです。
プロンプトを入力したら送信(生成)ボタンを押しましょう。するとAIの映像生成が始まります。待ち時間は約数十秒〜1分程度。画面上で処理状況が表示されるので気長に待ちます。生成が完了すると、自動的にその動画が再生されて結果を確認できます。
 
 
 

4.動画のダウンロード・保存

 
生成結果に満足できたら、画面右上のメニューから「Download」をクリックして動画を保存しましょう。MP4形式またはGIFアニメーション形式でダウンロード可能です。SNSに投稿したい場合は軽いGIF形式で保存するなど使い分けると良いでしょう。
また、生成した動画はSoraのマイページに蓄積されていくので、後から見返したり再ダウンロードすることもできます。
 
 
 

5.ストーリーボード機能で複数動画を連結

 
Soraには「Storyboard(ストーリーボード)」機能も搭載されています。これは複数の短い生成動画クリップを順番に繋ぎ合わせて、一つの長い動画作品にできる機能です。
 
 
 

6.生成後の編集(Re-cut・Remix・Blend・Loop)

 
Soraで生成した動画はそのまま使うだけでなく、さらに細かい編集を加えることも可能です。各動画には個別の編集画面が用意されており、以下のようなツールが利用できます。
 

Re-cut(リーカット)

動画内の最適なフレームを抽出し、映像を延長するツールです。重要なシーンをスロー再生して引き伸ばすような効果も得られます。

 

Remix(リミックス)

元のプロンプトをもとに新たなバリエーション動画を生成する機能です。出来上がった映像に少し不満がある時などに、同じ指示でもう一度違うパターンの映像を試せます。

 

Blend(ブレンド)

2つの動画を合成して一つに融合させます。例えばAという動画の要素とBという動画の要素をミックスして、新しい映像表現を得ることができます。

 

Loop(ループ)

動画をループ再生(エンドレスリピート)させる処理です。継ぎ目なく繋げて無限に再生できる映像クリップを作れます。
これらの編集ツールを駆使すれば、生成直後の映像からさらにワンランク上の仕上がりを目指せます。まさに至れり尽くせりの機能セットで、ユーザーの創作意図にとことん寄り添ってくれるのがSoraの強みです。
 
以上がSoraの基本的な使い方と操作フローです。ぜひ様々なプロンプトや設定を試して、Soraならではの映像表現を楽しんでみてください。
 
 
 

Soraの活用事例

Soraは実際どのように活用されているのでしょうか? ここではクリエイティブな活用例からビジネス利用まで、いくつか注目の事例を紹介します。
 
 

短編映像制作・アート作品への活用

 
Soraはクリエイターの新たな表現手段として早速活躍しています。
 
例えばカナダのクリエイター集団「shy kids」は、Soraの生み出すシュールな映像表現に注目し、頭が風船の人物がスケボーに乗るという不思議な短編映像『Air Head』を制作しました。
 
また、米国のマルチクリエイターであるポール・トリロ(Paul Trillo)氏は、Soraを用いて時間や形状の変化をシームレスに表現する映像作品を発表しています。ど
 
ちらも従来は実写やアニメーションで手間暇かけて表現していたであろう斬新なアイデアを、AIが見事に映像化しており、国内外の映像祭やSNS上で大きな反響を呼びました。
 
 
 

マーケティング・広告分野への活用

 
Soraの登場は企業のマーケティング手法にも新風を吹き込んでいます。
 
商品コンセプトを映像でビジュアル化したり、SNS広告用の動画を手早く量産したりといった用途でSoraを試す事例が出始めています。
 
実際、海外のあるクリエイティブエージェンシーではSoraを使ってクライアント企業のブランドイメージを表現する映像を制作し、高く評価されたそうです。従来は膨大なコストと時間を要した動画広告の制作が、テキスト指示だけで短期間に出来てしまうのは革命的です。
 
今後、日本企業でも商品プロモーション動画やサービス紹介映像にSoraを取り入れるケースが増えていくでしょう。
 
 
 
 

SNS・エンタメ分野での話題

 
一般ユーザーによるSoraの活用も盛んで、SNS上には日々Sora生成動画が投稿されています。
特にTikTokではSora製の短い映像クリップがバズる事例も見られ、その驚異的な映像クオリティに「これ本当にAIが作ったの!?」と驚くコメントが相次いでいます。
 
例えばあるユーザーが投稿したマインクラフトのゲーム画面そっくりの映像は、実は一切プレイ動画を使わずSoraだけで生成したものでした。あまりにリアルな出来栄えに、多くの視聴者が本物と見間違えたほどです。
 
 
 

映像制作のプロ現場での活用

 
Soraはプロの映像制作者にとっても魅力的なツールです。
 
実験的な映像表現を試すプロトタイプ制作や、従来はVFX(視覚効果)スタッフが手作業していた背景合成・加工の一部をSoraに任せることで制作効率を飛躍的に高める試みも行われています。
 
2024年末には東京でSoraで作られた映像作品を集めた上映イベント「Sora Select」が開催され、映画監督やアーティストらが手がけたSora作品が披露されました。OpenAIのSora開発チームも来日しており、「クリエイターとともにSoraの可能性を探求したい」と述べています。プロの現場でもSoraへの期待は高まっており、将来的には映像制作のワークフローに組み込まれる日も近いかもしれません。
 
これらの事例からも分かるように、Soraは個人の創作からビジネス、プロの映像制作まで幅広い領域で活用が進み始めています。文字どおり「一晩で世界を変える」ようなインパクトを持った動画生成AIとして、Soraは新たな映像文化を創出しつつあるのです。
 
 
 

まとめ

OpenAIの動画生成AI「Sora」は、文章を書くだけで誰でも映像クリエイターになれる夢のようなツールです。高度なAI技術を駆使してリアルで魅力的な動画を自動生成できるその性能は、まさに次世代のコンテンツ制作を担う存在と言えるでしょう。 動画制作のハードルを劇的に下げ、多くの人々に創造の翼を与えるーそれがSoraの最大の価値です。
 
あなたもSoraを使って、頭の中のイメージを映像という形で具現化してみませんか? 最初は20秒の小さな映像でも、そこからクリエイティブの可能性が大きく広がるはずです。Soraが切り拓く新しい映像表現の世界は、今後ますます多くの人々を魅了し、動画コンテンツの在り方を変えていくことでしょう。未来の映像制作は、キーボードとAIによって創られる——そんな時代がもう目の前に来ています。